経営者さま 人事労務担当者さま 必見!
〜日常茶飯事にあるお話・・誰も教えてくれない事例の数々〜
労働者にこのような対応をしていませんか?
もしかすれば法律違反になるかもしれません!
もうすぐ退職する従業員から有給休暇の申出があったが、
退職する者にはそのような権利はないと拒否した。
労働基準法第39条(年次有給休暇)
①使用者はその雇い入れの日から起算して6か月以上継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
「年次有給休暇」とは・・
労働者の疲労回復、健康の維持・増進、そのほか労働者の福祉向上を図る目的で「労働基準法」に規定された制度です。
勤務の一定条件を満たした雇用労働者に対し、使用者には所定休日以外に年間一定日数以上の「年次有給休暇:年休」を与える義務が発生します。
そして、この年休には一定の賃金を支払うことが義務づけられ、この規定に違反する使用者には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
現実のところ、(中)小・零細企業では、年休の取得に際し、会社から請求用紙に理由を書くことを要求されたり、仕事の状況から許可をしぶったり、また就業規則がすぐに見られない状況だったりと、まずもって年休が取りにくい条件がそろっています。
ですが、年休は労働基準法にもとづき、労働者に与えられる大切な権利ですから、大手を振って取って当り前の社内環境をつくっていかなければなりません。
休憩時間であるが どうせお客は来ないだろうからそのまま店番をさせている。
労働基準法第34条違反の可能性あり
労働基準法第34条(休憩)
①使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少なくとも四十五分、八時間を超える場合においては少なくとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
③使用者は第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
「休憩」とは・・
労働が長時間継続すると、労働者の心身に疲労をもたらすうえ、災害が起きやすくなったり、能率が低下したりするおそれもあるので、疲労回復のために休憩時間を与えることとしたものです。また、休憩時間には、労働者にとっての自由の回復などのより積極的な意味ももっています。
ここでいう休憩時間とは、一般に、労働時間の途中に置かれた、労働者が権利として労働から離れることを保障された時間であると定義されています(昭22.9.13発基17号)。そして、権利として労働から離れることを保障されているか否かは、労働者がその時間を自由に利用できるかどうかという観点から判断するとされています(昭39.10.6基収6051号)。質問の事例は、自由利用が保障されているとはいえないようですので、むしろ労働時間に当たるように思われます(昭23.4.7発基収1196号など)。
営業中に交通事故を起こし、社用車を破損させた。修理代を控除した差額を給料日に従業員に支払った。
原則として労働基準法第24条の
賃金全額払いに抵触の可能性あり
労働基準法第24条(賃金の支払い)
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものに
よる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定め
がある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があると
きはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働
者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金
の一部を控除して支払うことができる。
「賃金の全額払いとは」・・
労働基準法第24 条(賃金支払いの5 原則)
賃金は①通貨で、②直接労働者に、③その全額を支払わなくてはなりません
賃金は④毎月1 回以上、⑤一定の期日を定めて支払わなければなりません
の中の ③に該当します。
たとえ、労働者が会社に損害を与えたなどの場合であっても 賃金は全額払わなければなりません。
賃金からの控除が認められる場合には
①法令の定めがある(公租公課など)
②労働者が負担することが事理明白なもので、労使の自主的な書面協定による
があります。